【基調講演Ⅱ】
エネルギー政策とオープンイノベーション
三菱電機株式会社 常務執行役 日下部 聡 氏
三菱電機株式会社 常務執行役
日下部 聡 氏
「エネルギー戦略とオープンイノベーション」と題した基調講演Ⅱには、三菱電機株式会社 常務執行役 日下部聡 氏が登壇しました。 日下部氏は横浜国立大学経済学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省、数々のエネルギー・環境政策にも携わり、2015年より2018年まで第29代資源エネルギー庁長官を務める など、長年、経済産業官僚としてのキャリアを歩まれました。
講演冒頭では、京都議定書から現在に至るまでの我が国エネルギー政策において、その時々で主流と目されたエネルギー関連技術がどのように変遷していったのかという論点を取り上げ、 わずか20年前のエネルギー技術アプローチの中心はまだ化石燃料であり、水素技術や蓄電、再生可能エネルギーが主役になるといったシナリオはまだ無かったことや、 再生可能エネルギーの電源構成比率目標が引き上げられた2015年当時においても、主力電源としては位置づけられていなかったことなどが、当時の政策検討・産業界の動きなどを辿りながら紹介されました。
「低炭素」から「脱炭素」へと変わる2050年ターゲット達成に向け「ゼロにする」ための抜本的な思考転換が起きた結果、ようやく水素技術や蓄電池技術が脚光を浴び始めてきた一方、 20年、30年後には状況が大きく変わる可能性も十分にあると指摘し、企業・産業界の時間軸では見通しにくい中長期の研究開発課題をACERCのような大学研究組織がブリッジしてゆくことが求められるだろう、 と大学研究機関への期待を述べました。
2050年カーボンニュートラルへの道筋として、水素サプライチェーンや系統グリッド構築を含めたシステム的な発想が重要になること、 企業間や大学とのアライアンス等による、技術を核としたオープンイノベーションがますます必要であることが改めて強調され、日下部 氏の基調講演が締めくくられました。
基調講演Ⅱ・日下部 聡 氏
※ 基調講演Ⅱプレゼンテーション資料(pdf)はこちらからダウンロードできます