先進化学エネルギー研究センターの設立目的
21世紀を代表する問題に「エネルギー環境問題」があります。すなわち、これまで大量に使い続けてきた化石燃料の継続使用に警鐘が鳴らされています。その理由は、第一に化石燃料は有限であり、使い続けることは不可能であること。第二に化石燃料の使用により大気中の二酸化炭素の濃度が上昇し続け、この事実と世界の異常気象との関係が問いただされていることを挙げることができます。いずれにしても、化石燃料は持続可能ではないため、太陽光、風力などの自然エネルギー(再生可能エネルギー)への期待が高まっている訳です。
2015年の国連サミットで採択されたSustainable Development Goals(SDGs: 持続可能な開発目標)は17の大きな目標を掲げています。そのなかに、「目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」と「目標13:気候変動に具体的な対策を」という2つの大きな目標が掲げられています。これらの目標に貢献すると考えられる再生可能エネルギーも含めたエネルギーの有効利用を図るためには、物質のもつエネルギー(化学エネルギー)を使いやすい電気エネルギーに効率的に変換したり、逆に電気エネルギーを用いて化学エネルギーに変換して貯えたり、化学エネルギーの担い手を運んだりという科学・技術の一層の発展が重要となります。
そこで、化石燃料に依存した社会から脱却した「低炭素社会」の構築に貢献し、持続可能社会を実現することを目的として、本学の強みである電気化学を基軸とした化学エネルギー関連の新たな研究拠点として「先進化学エネルギー研究センター」を設置しました。